側に居たくても

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だけど、そこにはあまりにも無情な悲劇が待ち受けていた。 あたし自身はもちろん、明美にも気づけなかったその悲劇の正体は、ゆっくりと、でも確実にあたしたちの関係を破滅へと導いていたのだ。 この真相にあたしが気がついたのは、ちょうど一ヵ月ほど前だったろうか。 自分の身体に起きている異常について考え、眠れぬ夜を過ごしていると、不意にある推測が頭に浮かんだのだ。 自分がこんな状態になり始めたのは、半年ほど前から。 それまでは一度だって、こんな風になったことはなかった。 では、そこに決定的な違いがあるとすれば果たして何か……そう想像したとき、真っ先に浮かんだのは明美と暮らす環境そのものしかなかった。 とは言え、明美はあたしにすごく良くしてくれていたし、栄養のある食事や適度な運動だって常に気にかけてくれていた。 当然、ここまでしてもらえていたあたしにストレスなんて無縁。 それでは、他にどんな可能性が考えられたのか。
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