側に居たくても

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冷静に思い返せば、答えは簡単だった。 あまりにもシンプルで、身近に原因がありすぎて、気づくのが遅すぎてしまった。 あたしの身体がおかしくなり始めたのが、半年前。 そこから徐々に悪化してきたわけだけれど、その悪化する“タイミング”と“身体の箇所”をよくよく振り返って照らし合わせてみた瞬間、あたしは辿り着いた真相に納得すると同時に、呆然とさせられた。 あたしの身体は、大好きな明美が側に寄り添ったり優しく触ってくれる度に酷くなり、症状が悪化してしまっていた。 人間たちの言葉で言う、『ヒト・アレルギー』。 これが、あたしと明美を苦しめていた真犯人だった。 明美と会うまでは、それほど頻繁に人間と接っする機会もなかったせいで、あたし自身も自分がそんな体質だなんて想像もしていなかった。 恐らく、明美たち人間にとってもこのヒト・アレルギーというのは症例が少なく認知されにくい病気だったのだろう。 だから、素人である明美はもちろん、獣医さんですらこの真相に辿り着くことができずにいたのだ。
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