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シュンが肘に下げたカゴに自分の商品を入れていく。そのときシュンの肘に手が当たりかけて震えてしまった。だめだ、変な空気ができている。これは一度リセットせねば。
「ご、ごめん。俺先に外に出ててもいい? 人込みでちょっと息苦しくて」
「えっ気づかなくてごめんね。行ってきて」
気遣うようににこっと笑うシュンに胸が痛む。ごめんね、本当は夏と冬の祭典で人込みなんて慣れっこなんですけどね。
予想代金より少し多めの現金をシュンに渡して店を出る。とはいえショッピングビルの中なので通路に出ただけなのだが、混みあう店内よりははるかに空気が澄んでいる。胸に手をあてて小さく深呼吸すれば、少しは気分が落ち着いた。いかんな、いくら嫁に似ているとはいえ、あれはいかん。
シュンが会計を終えるまではきっと時間がかかる。自分が残ればよかった。人込みできつい思いをしているシュンが可哀相だ。交代するか、と踵を返しかけたとき、俺のいる通路とシュンのいるレジ前の間で、何やらでかい声でわめいている集団が目に入る。
「ぎゃはははは、お前それまじねーわ」
「ありえないんですけどぉーこいつぅー」
意味が分からないくらいダボついた服。ワックス一瓶使い切ったんですか、というくらいバキバキに固まった頭。辺りをはばからない大声に、大衆演劇か何かかと思うくらい大袈裟な身振り手振り。
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