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 初めて話しかけてから二週間。実はシュンはそこまで陰キャラというわけではないことに俺は気づいていた。長すぎるモッサリ黒髪と地味な服装で勘違いされやすいようだが、実はサバサバと喋るし根暗なわけでもない。そして笑うとちょっと幼くて可愛い。そして笑い方は嫁とは似ていない。控えめににこっと笑う嫁とは違い、シュンはしっかりと口角を引き上げて笑う。 「名前を聞いたことだけは何度もあったんだけどね」  俺の連絡先の登録名でも変更しているのか、携帯をサッサッと操作しながら告げられた言葉にきょとんとしてしまう。 「え、そうなの」 「うん。だって周藤くん有名人だし」  そういえばそうだった。学校内一のイケメンね、はいはい。しかし別の科にまで知られているのか。なんだか気恥ずかしいというか、ムズムズする。 「すっごく格好いいのにすっごくオタクな人がいるって聞いたことがあって。すんごい筆箱持ってたから、あーこの人かーって。話しかけられたときはびっくりしたよ」  そう言って目を細めて笑う。やめて、ちょっときゅんとするから、そんな可愛い微笑み方しないでくださる。  に、しても。そうか。シュンは俺がオタクだということも承知済みなのか。それでいてオタクな話題を振ってこないということは……。 「ごめんね、俺そういう話はちょっとわからないから、退屈じゃない?」  ですよねええええええ。ああ、と俺は心の中だけでうなだれる。人を見た目だけで判断してはいけませんね。陰キャオタク仲間だと思っていたシュンは陰キャラでもオタクでもなかった。でもでも。 「いいよ、別に。一緒にいて楽しいし」     
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