229人が本棚に入れています
本棚に追加
そんな風にごちゃごちゃ考えているうちに、「行こ!」とシュンに手を引かれて立ち上がった。そのままフロアを後にする。あれ、これナチュラルに手をつないでいないか?
何やら焦っているシュンは自分の大胆さに全く気付いていないようだった。
「シュンって意外とセンスいいよね」
「え、そうかな」
あ、意外とか言っちゃった。正直すぎたかな。でもシュンは気にした素振りもなくストローで氷をカシャカシャ混ぜている。
買い物を終えた我らが向かい合って座るのは、全国どこにでも在るコーヒーショップのオープンテラス。俺のキャラメルマキアートに対して、シュンが手に持つカップの中身はアイスコーヒー、しかもブラック。意外とストイックな奴だな川住春め。気弱そうに見えて実は硬派とかギャップで攻めるつもりですか。そんなに仕掛けずとも俺は既にノックアウトですよ。主に顔に。
「うん。一見地味っぽいけどすげースッキリまとまってるっていうか。小物とかセンスいいよね」
銀縁眼鏡とモッサリ黒髪のせいか地味な印象を与えるシュンだが、よく見ればその容姿はかなりいい線をいく。
最初のコメントを投稿しよう!