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「おーっす周藤!」
冷や汗をダラダラとかきながら必死に応対していると、天の助けが背後からやってきた。ガシィ、と肩に腕を回されて後ろを振り返れば、同じ科の、ええと、確か、山田くんだった。茶髪でチャラッとしていて、こちらはいかにも男子大学生といった風貌の御方だ。
「おや、こちらの女の子はー?」
「えっと……」
「デザイン科の河村っていいます! 周藤さんってゆうんですかぁ?」
ああ、計算してるって分かってるんだけどさ。この舌ったらずなしゃべり方かわいいよね、うん。でももう山田くん(多分)が来たからには夢のような時間はオシマイ。この良くも悪くも大らかな男がきっと、彼女の夢を木っ端微塵に砕いてくれるでしょうよ。
「あー……周藤狙い? 確かにこいつ、ありえないほどイケメンだしね」
「ですよね! すっごいカッコよくてー、思わず声かけちゃいましたー」
ミホちゃんよ。山田くん(推定)の苦笑いに気づいてくれ。
「でもこいつはやめといたほうがいいよ」
「ええ? どうしてですか!」
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