22人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
約束の手紙
「これを君に渡しておきたい」
美怜が亡くなってから1週間。
自宅にある人物が訪ねて来る。
「これは……」
「美怜のいた病室の引き出しに入っていたものだよ」
訪ねて来たのは美怜の父親だった。
俺が受け取ったのは1通の手紙とメッセージカード。
『私の最初で最後の彼氏へ』(手紙)
『手紙は約束の花火大会で花火を見ながら読むこと!それまで見ちゃ駄目だからね!!』(メッセージカード)
という内容だ。
「必ず行くよ……花火大会……」
それから時は過ぎ……新たな夏が始まるのだ。
「1年前、君は言ったよね……またふたりで花火を見ようって……」
真夏の空。
星が点々輝く大空に夏の風物詩は盛大に咲き誇る。
美怜と行った1年前と全く同じ場所で俺は独り花火を見るのだ。
誰にも邪魔されず独りで、
彼女が残してくれたあの手紙を開けるために……。
最初のコメントを投稿しよう!