夢だった

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解ってしまった。 解ってしまえば、もう。 隣に居るあなたに手を振った。 あなたは、分かっていたように笑って、私の手を引っ張って抱きしめた。 あなたの温もりが、私にとって唯一の。 あなたの香りが、私を。 『好きだよ』 ・・・ああ、ずっと言われたかった言葉。 あなたの口から聴けるなんて。 私は、再び、貴方の唇にキスをした。 貴方は、驚いたような顔をして―――私の前から消えてしまったのです。 ・・・ほのかに残った香りは、優しい、シトラスの香りでした。 夢では、なく。ずっと、夢だったのです。
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