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【prologue】
「暑い...」
見渡す限り続く大砂漠の中、彼は呟いた。
身長は180程だろうか、黒いブーツに迷彩柄のズボン、身体にぴったりとした黒いスポーツウェアの様なものを着ており、長身の体にボロボロに破れた黒いマントを羽織っている。
背中には細身の身体に似つかわしくない、身の丈程ある大剣を差しており、銀髪の長い髪を肩まで垂らし、整った顔をした金色の瞳からは眼前の光景にうんざりしている様子が見て取れた。
「ジオラ、休憩は終わりだ、ひと仕事頼む」
ジオラ、と呼ばれたそれは彼の傍に佇むバイクだ。話しかけたあたり、AI機能が搭載されているらしい。
「了解した。戦闘フェイズに移行する」
ジオラは返答するとたちまちその姿を狼に変えた。極めて高度な技術によって製造された凡庸性の高いAIロボットのようだ。
「標的確認。担当を決めよう、匙(さじ)よ、どちらを狩猟する」
何故こんな事になったんだろうか…匙と呼ばれた彼は眼前に鎮座する2体の巨大な生物に眼をやり、天を仰いでもう一度呟いた。
「暑い...」
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