【死運黒手】

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“第一種処刑配備、現場周辺の狩猟者は速やかに処分に向かって下さい。民間人は最寄りの避難シェルターの中へ...” さっきから警報と一緒にアナウンスがずっと流れている。 無駄だ。今日はこの収容所とは真逆の最南端で軍事演習が行われている事くらい知ってる。俺も元狩猟者なんだから。 しかし、遠目に1隻輸送艦らしきものが飛んでるな、こっちに向かって来ている気がする。 「さて、グズグズとはしてらんねェな、軍事演習中とは言え、もし行ってない奴がいてもおかしく無いからな。さっさと首を隠せる物を探さねぇと」 そう言う男の首にはまるで誰かに締められたかの様な黒い2つの手形が浮いている。 この黒い手形こそ地下都市1番の脅威の正体、 怨霊病だ。 何者かに襲われたかのような形で禍々しい2つの黒い手形が身体に浮き上がる事からそう呼ばれている。 怨霊病は感染力がとても強い。空気感染こそしないものの、飛沫感染、接触感染する。 ちょっとでも触れた瞬間、たちまち相手にも黒い手形が浮かび上がる。 怨霊病は自覚症状が無い上に症状が出る場所がランダムだ。背中なんかだとまず気付かない。 怨霊病は治す手段が無い。なんの前触れも無く突発的に発症する為、原因も全く分からない。 昔は原因を探ろうと、怨霊病患者専用の病院も配置されていたが結局何も掴めず、今は隔離するしか術が残されていない。
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