【死運黒手】

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もぬけの殻になった住宅街を練り歩き適当に服を見繕(みつくろ)う。 ここからが本番だ。 「どうしたもんか」 怨霊病患者は収容所から出てはいけない。 市民に接触でもしたらパンデミック的に病が拡がる恐れがあるからだ。だから収容所から出た瞬間、殺処分対象に入る。 怨霊病患者が助かる方法があるとすればそれは一つだけ。 「問題は地上に出る為の装備をどうするか。」 地上に出れば助かる。地下都市に被害が及ばなくなるからだ。 ただ地上に出るにも装備がいる。 いくら強固なDCと言えど、地上の100℃の熱に晒されたりしたらたまったものじゃない。 一瞬でまっ黒焦げだ。 地上に出る為の軍用装備は主要都市のど真ん中にある学院の中だ。そして地上に通じるエレベーターも設置されてある。 どうやって侵入しようか...思案しながら歩いていると不意に背後から殺気を感じた。 咄嗟に横へ身を躱(かわ)すと 先程いた場所に無数の弾痕が残っている。 ドン!ドドドドドド 続け様に乱射される。突然の銃撃に俺は紙一重で銃弾を躱す。息つく暇すらもない。躱すだけで精一杯で、敵を視認する事なんか出来ない。だが、俺はこの人を知ってる。的確に狙いを定め、相手を疲労で動けなくなるする様な、絶え間無く、無駄の無い撃ち方。 紙一重で銃弾を躱し続け、やっと物陰に隠れて相手を確認する事が出来た。 やはり俺の想像通り、元上官だ。 が、今は敵だ形振り構ってられない。物陰に隠れながら背後にまわり、俺は元上官に突撃した。 「うぉぉぉ!!」 渾身の力で振り下ろした拳は空振りし、派手な音をたてて鉱物質の地面を割った。 怨霊病が脅威とされるもう一つの原因。 身体能力の飛躍的上昇だ。 何らかの要因でDNAに以上が起こるらしく、元来の2倍近い能力を発揮出来る。火事場の馬鹿力がいつでも使えるような感覚だ。 「残念。ハズレっちゃね」 一瞬気を抜いた隙に1発の銃弾に足を撃たれ、呆気なくその場に倒れこんだ。 足音が近寄って来る。 俺は声の主を見る為に上を見上げた。
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