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「悪い、遅くなったな」
まゆと淡雪の会話から遅れる事5分、匙の乗った輸送艦がやっと到着した。
第1小隊隊長の匙。狩猟者1級。圧倒的な格闘センスを持ち、Sクラスの原生生物も難なく切り伏せる。彼が持つ大剣ブラッドには、生物で言うところの消化器官の様なものが埋め込まれており、生物の血を吸えば吸うほどその刃は鋭さを増す。
「遅すぎます。何時間経ったと思っているんですか。怨霊病患者の件があったにせよ、警報が鳴り止んでから4時間半もあったんですよ?一体何をしていたらこんなに時間がかかるんですか!」
我慢の限界だったらしい。ご立腹のまゆが叫ぶ。
突然の叫び声に演習中の隊員達が何事かと一斉にこちらを振り返った。
我に返ったまゆは深呼吸を1つすると、つとめて穏やかな口調で
「何でもありませんよ。取り乱してしまって申し訳ありません。皆は演習を続けて下さい」
と促した。演習に戻るのを確認すると、もう一度匙に向き直り。
「それで?何故こんなに遅くなったんです?」
「例の警報、ナツが先に到着してたんだよ。とどめを刺すところだった」
「なら尚更何故あなたは遅れたんです!?」
まゆがヒステリックに叫ぶ。
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