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【死運黒手】
主要都市から最北端に位置する場所にその建物は鎮座する。
周囲のバラックの様な家々からは明らかにその存在は浮いていて、冷酷で残忍な気配を感じさせる。
建物に名は無い。
強いて言うなら収容所だろうか。
罪人や原生生物、遺伝子操作に失敗され人として原型を保つ事が出来なかったモノ。
そしてこの地下都市で1番の脅威とされている、ある人々が監禁される。
看守どもがばたばたと収容所の辺りを走り回っている。
逃げ出した罪人を捕まえるのに苦労している様だ。
やっぱり一緒に脱獄させて正解だったな...。
少し離れたところで看守の慌てる様や捕まって泣き喚いたり、暴れ回る罪人をさも可笑しそうに見物する。
ウゥウゥとやかましいなぁ...
耳を劈く(つんざく)警報の音に、男は苛立ちを隠せずにいた。
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