親の愛情、無条件には与えらず

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***  私は小学六年生の頃から親元を離れ大好きなおばあちゃんと二人暮らしをしている。おじいちゃんは私が生まれてわりと直ぐに病で倒れ亡くなったそうだ。そのため今はおばあちゃんと二人仲良く小高い丘の上にある平屋で暮らしている。  私の両親は独身時代から仕事人間でスキルアップのために研修や学会発表等を率先して行うタイプの人種だった。そんな二人が恋に落ちて、結果的に授かり婚。両親の間に生まれたのが私だった。  不妊が問題提起されるこの御時世で授かり婚は悪いと思わないし、むしろ祝福すべきことだと二十歳ながら思っている。  でも、大事なのはその後の育児環境だ。 「絵麻ちゃんがいるから正社員で働きにくい」 「俺だって役職ついてるんだから簡単に仕事休めない」  小学校に入ると両親の仕事への執着が激しくなり、その原因が私であることを毎晩私が寝た後のリビングで言い合いをしていた。  子どもというのは不思議なものでそんな両親でも褒めてもらいたいと思う気持ちは常にあり、テストでは常に満点を取り家事を手伝ってみたりと私なりに努力をした。  でも、それが認められることはなく私の心は暗闇に包みこまれていったのである。
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