第一章 図書室での出会い

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第一章 図書室での出会い

 事の起こりは数ヶ月前。  いつものようにボクは図書室にいた。普段は誰も来ることが無い。担当である筈の図書委員すら足を運ばない。そんな隠れ家のような図書室がボクの聖域だった。  手当たり次第に小説を読む日々。『書いてみたい』と思うようになるまで、それほど時間は掛からなかった。  最初は模倣。次は昔話のリメイク。中途半端に投げ出してしまうものもあれば、きちんと書き上げたものもある。とにかく小説を書くのが楽しかった。  ただ、読んでもらう友達はいなかった。  例え友達がいたとしても、恥ずかしくて自分から読んでくれとは言えなかっただろうけど。  でもこの日。本当に偶然が起こったんだ。 「あれれ、篠塚くんだっけ。図書室なんかで何してるの?」  図書室に通うようになって半年以上。初めての来訪者にボクは飛び上がるほど驚いた。 「あ、えっと、ボクはいつもここで本を読んでるから。月島さんこそ、こんなところにどうしたの」  月島美代子。クラスメイトだ。――それ以上のことは良く知らない。  彼女に限った話ではない。クラスの人たちについて、名前以上のことは殆ど知らなかった。     
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