ブルー・キラー

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ブルー・キラー

 今の時代、「僕は人の心が読めるんです」なんて言っても「へー、そうなんだ。すごいねー」で済ませられる位には、人は特殊な体質というものに慣れてしまっているように思う。  それに関して苦言を呈するつもりは毛頭ない。不特定多数に情報を広めるのが簡単な時代なのだ。本物であれニセモノであれ、特殊な能力を持つ人間についての映像や音声が出回るのも頷ける話だ。  だから、というわけではないが、僕は自分の体質について誰かに話したことはない。  十把一絡げにされるのが嫌というよりかは、そんな時代でも受け入れられそうにない程に、奇妙で、不可解な能力だからだ。 「おはようございます、奏せんせー!」 「おはよーせんせー!」  二人の女生徒が元気良く挨拶をしながら、僕の隣を駆け抜けていった。 「おはよう。転ばないようにね」  はーい! と返事をした時には、二人は既に校舎の中に入ってしまっていた。そんなに慌ててどこへ行くのやら。中庭の方へと駆けて行った生徒の後ろ姿を見送りながら、僕も職員室へと向かった。  道すがら、廊下の窓から中庭を見下ろすと、校舎の陰になにやら人だかりができていた。何かあったのだろうか。気にはなるが……後で誰かに聞いてみることにしよう。
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