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「でもね、保安検査場でパソコンはカバンから取り出さないといけないでしょう? あれは、面倒くさいわね。あれ、なんでわざわざカバンから取り出さないといけないかご存知です? パソコンに爆弾が仕込んでいないか検査するためなんですって。そんなの納得いかないわ。何が悲しくて、私のノートパソコンが爆弾だと疑われなくちゃならないのよ。私のノートパソコン、この薄型のやつね。アルミの削り出し素材で作ったとかなんとかで、分解なんて不能だそうよ。実施、裏面を見てもネジ穴なんて付いていない。このノートパソコンを爆弾だと疑うなんて、一体どういう頭をしているのかしら? それに、私のような美人がパソコンに爆弾を仕込んで上空一万メートルで自爆するわけがないでしょう? 」 「まあそうね。でもいいかしら? 仮にこのノートパソコンに爆弾が仕込まれてなかったとしましょう。でも、その持ち主は、バカンス期間の中、高級スーツを着込んだ若い女性のあなた。それもその若さで、プレミアムクラスに乗っている。別に、あなたが、爆弾でこの飛行機を、上空一万メートルで爆破しようとしているなんて、思いもしないけれども、怪しい身なりであることは確かね。それに最近じゃ、若い女性が自爆テロをするっていうのは、珍しい話じゃないわね」 と、老婦人は微笑んだ。 「確かにその通りね。ここでは、私は怪しい人間。ゴールデンウィークに高級スーツ姿で沖縄行きの便に搭乗し、バカンス気分の家族を道連れに自爆しようとしているとびきりの美人」 そう言うと、二人は笑いあった。 「あなた、面白い子ね。でもあなた、本当にそんな格好で沖縄に何をしに行くの? まさか本当にこの飛行機を爆破するってわけじゃないんでしょう? まぁ、お仕事ってところなんでしょうけど、どんなお仕事をされているのかしら? 」     
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