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弾丸キャット:
『たいての人間は、いいお店につれて行ったり相手がトイレにたった隙を見て支払いを済ませたり、そういう虚栄を早く捨てたいって思ってる。
ありがたそうだけど意味不明なお通しの出てくる敷居の高そうな創作居酒屋より、一緒に王将で一皿230円の餃子をつっついたりお互いの頼んだ回鍋肉と麻婆豆腐を「半分食べたら交換しようね」ってお皿を交換する関係になりたいのね。
で、ゆくゆくはどちらかのお家で手作りカレーを食べたり、水炊きやもつ鍋を囲む関係にたどり着きたいと思ってるわけ。
いち早くそんな素敵な関係に辿りつくためにはどうすればいいかっていうと、いち早く軽くおごられる関係になりなよってこと。
あー、そうそう。間違ってもレジの前や店を出たあと得意げに「俺だって自立してますから!」、とか言って夜風に千円札をヒラヒラさせちゃいけないよ』
送信すると、返信はすぐに来た。
龍:
『キャットはそんな風に考えるんだ。やっぱキャットって変わってる(笑) 今まで自分の行動に迷ったときはネットのハウツー記事参考にしたり、相手が男だってこと隠しつつ友達に聞いてもらってたんだけど長くつづくようなマジな恋愛には繋がらなかった。だから今回はキャットのいう通りにしてみようかな。ちょっと不安だけどな(笑)』
もう、薄々わかってんだろ。面と向かって本当のことを言ってくれる人間は、たいていの場合友達ではなくて普段あんまり好きじゃない人間とか赤の他人であることが圧倒的に多い。そしてネットにはどうでもいいようなことしか書かれていないってこと。
弾丸キャット:
『試してみれば?
俺の言ってること、間違ってないってわかるから』
龍:
『そろそろ出かける準備するわ。キャットも彼氏とよい週末を。 ・・・・てかさ、キャットの彼氏ってどんな男? すげー興味あんだけど。もし嫌じゃなかったら今度教えてよ」
えー。嫌だけど?
心の中で返信していると扉がこんこんノックされ、「つーまー、今ちょっと話せるー?」と高橋の声で呼ばれた。
「・・・ちょっと待って」
急いで画面右上の「×」印をクリックする。サイト画面を閉じると先日栗原から新たに送られてきた過去の部長賞関係のデータがアクティブに映し出される。
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