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「う、うるさい!悪いかよっ」
リュウの小馬鹿にしたような態度がカンに障り、ついつい言い返してしまう。
こんなヤツに構ってるほどオレは暇じゃないのに。
それに身の危険を感じる。
よし、早々に話を切り上げて帰ることにしよう。
「危ないところを助けていただき、ありがとうございました。それじゃ、これで」
オレが一歩踏み出すとリュウがオレの腕をぐい、と引っ張った。
その反動でオレはリュウに抱きしめられる形となった。
「助けてやったんだ。お礼くらいはしてもらわないとな」
リュウはオレの右の首筋に顔をうずめる。
そしてそのまま、ちくりとした痛みがオレを襲った。
「いったぁ……。なにしたんだよ!」
慌てて首元を見ると、赤い跡がついていた。
それはいわゆるキスマークってやつで。
「なん、だよこれ……」
「マーキングだ」
「はぁ !?」
オレは思わず素っ頓狂な声を上げた。
オレはそのような経験がない。
彼女いない歴=年齢のオレ。
でも、それが何を意味するのかは知っていた。
それでも相手が妖となれば話は別だ。
いやいやいや、え?
何の理由があってこんなこと……!?
顔を真っ赤に染めたオレを見てリュウは満足げに笑った。
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