第一章

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 うちの家系は監視人だった。 対象ははるか昔に先祖が封じた邪神。 ところがあたしが封印を解いちゃうと、意図的に悪神にされて封印された土地神と判明。 あろうことか、蛇神はあたしを「嫁」と言って押しかけてきた。 料理上手で、学校生活あっさり馴染めるほど適応力高くて、思考が時々乙女で、ゲーム布教活動してるユーチューバー。一体どこへいこうとしてるのかこの神様は。進化の方向性をあきらかに間違えてる。 さて、生まれつき人ならざるものが見えるあたしは妖にとって格好のエサだそうで、蛇神は絶対守ってくれる最強のボディガードだから嫁になることを先日決めた。 背に腹は代えられない。虫に遭遇しなくていいパラダイスな人生のためだ、嫁くらいなってやるわ! あたしは小さい頃虫系の妖に誘拐されて以来、トラウマなんだ。 で、ちょっと変わった神様は、本日何をしてらっしゃるでしょーか? ☆  めっちゃやる気出してオンラインゲームやっておりました。  うわー、速すぎて攻撃見えない。  テレビに接続してて大画面だから迫力あるぅ。  コントローラー動かす指も残像すら見えない。 「……これ、協力プレイしないと倒せない敵じゃなかったっけ?」  蛇神お手製、本日のおやつ~天使のミルフィーユ季節のフルーツとクリームたっぷり乗せ~をぱくつきながら聞く。  蛇神・九郎はゲーム会社やってる九尾の妖狐の娘と知り合いとかで、攻略動画撮って配信するバイトしてるから、それ関連とは思うが。 「須佐之男命とやってるの?」 「途中までは参加してたんだが、ゲームやりすぎと嫁に怒られたそうだ。おやつ抜きにされるって、泣きながらログアウトしてった。他のメンバーも疲れたと離脱したな。仕方ないから、持ってるアカウント総動員して一人でやってる」 「道理でそういう状況」  九郎の背からは八つの蛇の首が生え、それぞれゲーム機操作してる。舌でやってるから、後で拭きなさいね。  八岐大蛇の息子なんで、九郎の頭は一つ多い九つだ。一個は本体で、残り八つを動かしてるんだろう。同時にできるとか、そういうとこはさすが神様なんだなと感心してしまう。  とはいえ、自力で九人分協力プレイって、すごいのか悲しいのか。間違いなく悲しい。
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