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だがまだまだ、少女の方が上だ。エリカの過去に、人を殺した記憶は見えない。少女の指摘通り、死のずっと以前で無力化するのが常だったのだ――圧倒的な実力差によって。
少女は違う。
記憶なんて覗かなくても分かる。少女は殺人者だ。目が物語っている。たとえば池袋殲滅戦に松戸大魔抗争、大船観音呪力戦――あちこちの現場で、こういう目をした奴を、俺は何人も見てきた。
あれ?
池袋殲滅戦?
松戸大魔抗争?
大船観音呪力戦?
なんだそれ――まあ、いい。
とにかく、殺りあいレベルの技術においては、少女の方が圧倒的に経験豊か。まだ切ってないカードがいくつもあるはずだ。
それと――これは技量じゃなく、武器の問題か。
エリカの剣と、肘の牙。
そのどちらも、そろそろ保たなくなりつつあった。
スキルによって神獣の能力を手に入れた鎧だが、ぶっちゃけたことをいえば、神獣から得た情報をもとに鎧を『変形』させてるに過ぎない。
結局は、俺の能力の範囲内から出るものではないのだ。
だから、それを超える力をぶつけられれば、当然、壊れる。
そして残念なことだが、どうやら俺の能力は、まだまだ少女の神剣には及ばないみたいだ。
剣も牙も軋み歪んで、聖剣と触れ合ってる部分に至っては素粒子レベルで分解されつつある。
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