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リアルタイムで補修を繰り返してはいるが、それにも限界があった。
正直、いつばらばらに砕けてもおかしくない。
さっきやったみたく獅子の面から炎を出すという案は、既に却下済だ。エリカによれば、炎を吹いたのと同時に身体を両断されるとのこと。キツすぎる。
とにかく、俺に出来るのは魔素吸収してミスリル精製して剣と牙を補修……おやおや? 魔素が入ってこない。周囲に力場を張ってインターセプトされてます。聖剣さん、やることエグいなあ。
既に、牙はその太さの半分くらいまで聖剣が食い込み、剣の方はもうちょっとマシだが、時間の問題。
牙が両断されるまで、見たところあと5秒。
5。
4。
3――間に合った。
彼らが、来た。
「ファック・オー・ランタ~~~~~ン」
「ファッファッファッ、ファ~ックハンマ~~~~~」
「ファ~ック・ザ・リッパ~~~~~~~~~」
いずれも、一目見れば分かる。
ひとつは、カボチャに目鼻を切り欠いた頭を持つ、マントの怪人。ひとつは、まくれあがった唇の奥に金属の歯をのぞかす巨人。ひとつは、全ての指の間に刃物を挟み持つ小男。
エムジィが、自らの衣服を使って作った使い魔だ。
布を使い果たし、いまや下着と革靴しか着けてない状態のエムジィが叫ぶ。
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