神の依代

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センパイはむっとしている俺に近寄って頭の後ろに手を回し、エクステの束髪に触れてきた。 「似合ってるな」 早く帰れよ、変なこと言い出す前に。 そう思ってるのに全然通じなくって、エクステをさらりと撫でた手が、今度は俺の頭を撫でた。夏生がぐしゃぐしゃにした髪の表面をゆっくりと整えてゆく。ねっとりとした視線に見つめられて、頬が熱くなる。夏生にバレないように俯いて手を押しのけた。 「……急に来て驚かせた?そろそろ帰るわ、また学校でな」 やっと帰ってくれると思って顔を上げたら、センパイは真っ直ぐに夏生を睨みつけていた。 「じゃ、俺は帰ります。山下さんでしたっけ……さようなら」 ゆっくりと立ち上がり部屋を出て行く背中に、夏生が声を掛けた。 「遠藤くんだっけ?俺たち着替えるんで、扉閉めてくれる?」 夏生の言葉に一瞬振り返って、センパイは静かに出ていった。
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