夜が見ている

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身体を捩じって両手で夏生の頬を掴んだ。久しぶりに間近で見た眼は、潤んで真直ぐに俺を見詰めている。何を言うでもなく震えている唇が愛しくて我慢できずに塞いだ。 縺れるように預けた体重を全部受け止めながら、夏生の手が俺の頭を包み込む。お互いに唇の感触を確かめ合うように、繰り返しキスをした。触れたさきから身体と理性を繋ぎとめていたものがほどけてゆく。その快感に逆らえずに唇を開くと、温かい舌が入ってきた。 低い声でゆっくりと話す癖に、絡めてくる舌は饒舌に口の中を掻きまわしていた。夏生の手が二人の衣装を交互に解いて行く。紐を解き、唇を離し俺の顔を見ては脱がせ、また唇を塞ぐ。 着物だけになった時に堪らず裾から手を入れたら、夏生のそこはもうしっとりと蜜を溢れさせていた。 遠くから葉擦れの音と宴会の準備をする声。 夜につつまれて、今動かなきゃって急かされる。
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