緑燃ゆる

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「あいつ、……あの後外にいてタオル見たって……それでお前とやったのかって聞かれ」 「してねーし」 被せるように言った俺に、夏生が唇を噛んで頷いた。 「俺もそう言った。そしたら、祥爾は男だ、お前ノンケだから男となんかセックスできないだろって……」 そこで言葉を止めて、俺の顔を見てから視線を泳がせた。 俺も例祭の後までそう思ってた。だから、キスしたら興奮してくれたのが嬉しかったんだ。でもその後の無視、拒否、拒絶。 やっぱり俺が男だからひいたんじゃないかって、心のどこかで思ってた。 だから、最初に聞きたかったことを確認しようとして名前を呼ぼうとしたら、今度はこっちが遮られた。 「この前止めなかったの、わざとだから」 わざと? 首を傾げた俺を見て夏生は腕で顔を拭った。 「一緒に踊ることになって、久しぶりに会った時、あれって思ったんだ。お前の顔見ると身体が疼いた。気のせいだって否定してたけど、練習中にお前が近くにいると変なことばっか考えるようになってた。 でも、例祭さえ終われば前みたいに何でもない顔して会えるようになるはずだ、だから練習以外ではできるだけ距離を置こうってしてたのに、あいつが頭撫でるの見たら我慢できなくて……そしたら、祥爾がキス、とかしてくれて」 そこまで一息に言い、大きく息を吐いた。 「お前まだ十五だろ?俺が止めなきゃいけないのに、嬉しくて、気持ちよすぎて流されたんだよ。だから、いつか酷いことしそうで……離れなきゃ」 俺を見る目は悔しそうで泣きそうで、でも真直ぐな視線が俺だけを見てくれている。 それでも、夏生らしい優しさが今は無性に腹立たしかった。
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