緑燃ゆる

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唾液を交わし手で身体中をまさぐり合った後、絶対に人に見られてはいけないから、と言って夏生は車を走らせた。 こんな田舎のホテルに入れば誰に見られるか分からない。離れた場所まで移動する時間ももどかしく、朽ちかけた山の上の展望台に移動してお互いの身体を何度も求め合った。 『酷いこと』と言っていたのに納得するほど夏生は激しく俺を求めた。男とやるのは初めてでどうしていいか戸惑いながらも、激情に流されるように欲をぶつけてきた。それが嬉しくてたまらなかったのと同時に、これまで散々やった中でセンパイは俺に負担をかけないようにしてくれたんだな、って思った。 車内で体勢が制限されたせいで疲れたのか、夏生は子供みたいに俺を抱きしめてぐっすりと眠ってる。 フルフラットにした後部座席に男二人。数時間前に自転車で走っていたのがウソみたいだった。 ここについてから何も飲んでなかったから、喉が渇いた。 起こさないようにそっと腕をどかせてペットボトルを取ろうとしたら、小さく呻いて抱き寄せられた。 少し涙が出た。 例祭の後に、俯いて溢れた涙とは違うけど、何で泣いているのかはやっぱりよく分からなかった。 夜の山の涼しい空気が窓から入ってくる。 夏の匂いに包まれて、今度は起こすために夏生の名前を呼んだ。 【完】
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