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「にしても『親殺し』とは穏やかじゃねぇなぁ」
俺の言葉にシルキーとネズミも頷いた。
「それこそ虫も殺さない様な娘っ子じゃないか」
「俺に自分の食べ物を分けてくれる様な優しいカワイコちゃんっすよ? 何かの間違いじゃないんすか?」
「……あぁん?」
おい、ネズ公。お前、今何つった?
「ちょいと聞き捨てならないねぇ。て事は何かい? 魔女様が見誤ったとでも言うのかい?」
「ちゅっ?! い、いやいやいや! そういうつもりで言ったんじゃないっすよ!」
ギシギシと家が揺れ、カタカタと家具が鳴る。俺達、家事妖精の怒りがポルターガイスト現象を引き起こす。
「こりゃ。家が壊れちまうじゃないか。やめておくれ」
ぴたり、と治まった。当然だ。魔女様の言葉は絶対だからな。
「命拾いしたねぇ、ネズミ」
「さーせん!」
「確か、その辺に『千里眼の魔女』から貰った巻物があったねぇ」
「これか?」
「そうそう。さすがブラウニーだね」
俺もシルキーと同じ家事妖精だ。家の事は把握している。
「何故、この娘が『親殺し』なんて罪をその魂に刻まれたのか。ちょいと見てみるかねぇ」
魔女様が巻物に魔力を通せば魔法陣が浮かび上がる。そして、それを水晶玉に翳すと。
「映像が変わったっす!」
「ちょいと画質は落ちるが、まぁ見れるだろうさ」
確かに微妙に立体感が足りないが充分にハッキリ見える。音声も問題ナシ。
どうやら母親が病気らしい。
「看病疲れで安楽死、っすかねぇ?」
「シッ。黙って見てらんないのかい」
シルキーに怒られてネズミも黙る。水晶玉の中で過去が再現されるのを俺達は黙って見ていった。
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