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「貴女が奥様を殺したんですわ! 継母である奥様を疎んじて!」
「ち、違うわ!」
「あぁ、おいたわしや、奥様……それに旦那様がこの事を知ったら……!」
「い、嫌っ! ねぇ、お願い! 私じゃないのよ、信じて!」
「……事故だ、と?」
「そ、そうよ! だって、私はお義母様が好きだったもの! 殺すなんて考えたりしないわ!」
「ですが……目撃者もおりませんし……本当は心の底では憎んでいたのでしょう?」
「いいえ! いいえ……!」
「どちらにせよ、貴女が殺したんですわ。たとえ事故でも。そして事故だと証明する手は貴女には無い」
「あ……私が……お義母様を……」
「ですが」
何だこの女。妙に胸クソ悪い。
「私の願いを聞いてくれるなら、これは不幸な事故だったと旦那様に口添えしましょう」
「え?」
「……はぁ~?!」
娘の声に俺達の声が重なった。
「脅迫! 脅迫っすよコレ!」
「この状況でまぁよくも!」
「静かにおしよ。聞こえないじゃないか」
魔女様の声に全員が黙る。まぁ文句言ったところで過去の映像だ。こっちの声は聞こえねぇし、過去も変えられねぇからな。
「私は奥様付きの使用人。きっと貴女を信じなくても、私の言葉ならば旦那様も信じてくれるでしょう」
「魔女よりも悪どいねぇ。人間の女ってのはさ」
魔女様が呆れた様に呟いた。
結局、娘は事故だと主張したが信じてもらえずに使用人の言う事を聞く代わりに証言してもらう事になった。
「なるほどねぇ。『親殺し』ってのはこういう事かい」
そして、使用人は娘を利用して新しい継母の座についた。元々いた連れ子二人を家に入れ、義娘として認知させ、父親が不在がちなのをいい事に好き放題。
で、今に至る、と。
何とも反吐の出る話じゃねぇか。
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