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だが娘の悲劇はまだ終わらない。
「エーラ! 私の髪飾りはどこ?!」
「エーラ! 何よコレ! グラスが曇ってるじゃないの!」
継母と義姉二人はまるで娘を使用人どころか奴隷の様に扱った。
「お義姉様、申し訳ありません」
「人を殺す事くらいしか上手く出来ないの?」
「あらやだ、お姉様ったら……この娘はそれすら上手く出来なかったわよ」
「そうだったわねぇ。お母様が助けてくれなかったら、今頃は牢屋の中……いいえ、打首になってるわよねぇ」
「……っ!」
「何よ、その目」
「いえ、別に、何も」
ふいに義姉の一人が娘を蹴り飛ばした。娘は抵抗出来ずに竈へとぶち当たる。
「あらまぁ、灰だらけ」
「頭から灰をかぶるのが好きなのねぇ。人殺し娘にはお似合いだわ、『灰被りのエーラ(シンダーエーラ)』」
「シンデレラ! アンタは今日からシンデレラよ!」
「まぁ! 素敵な名前ですこと! ねぇ、シンデレラ!」
「返事をなさいな、シンデレラ!」
「は、はい……お義姉様」
娘が……シンデレラが立ち上がって答えた。けたたましい笑い声に吐き気がするぜ。
こうして『シンデレラ』と呼ばれる様になった娘はボロボロの姿で家事を全てやらされた。
父親が戻ってくる時だけ同じ様に着飾らされて、父親が家を出れば即座にひん剥き、着ていた服は焼き捨てられた。
「あーやだやだ。要らない服とはいえシンデレラに着せるなんて!」
「新しい服を買う口実になると思って我慢するけれど、嫌よねぇ」
そのうち、父親が死んだ。過労死ってヤツか。
だが女三人は変わらない。それどころかますます羽振りよく、そしてシンデレラを酷使した。
そんなある日のシンデレラをネズミが見て、あまりの酷さに魔女様に訴えた。今ここな。
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