ストーカー、ダメ、絶対

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「…とか、あとはストーカーに投げつけるとか?」  そっと視線から逃げて、言い直した。 「ストぉーカぁー?」  そんなもんいないでしょ、とばかりに大げさに繰り返す。 「自分は関係ないと思ってる?」  ギロっと目が光った、そんな気がした。なんとなくたじろぐ。 「だって俺ら、男じゃん。ありえないでしょ」  そう言うツカサに、サキは穏やかに、諭すように話し始めた。 「ストーカーにはさ、女もいるんだよ?あとはショタコン。若くて成長途上の可愛い少年を愛でたい、っていうおっさんとか。一見サラリーマンっぽい人に道案内とか頼まれたら要・注・意!優しそうな外見に騙されてさりげなく学校名、住んでる地域をきき出されて下見完了!それからはどこにいても視線を感じる日々!そんなことになりかねないんだよ!?」  だんだんとヒートアップしたサキは、ガシッとツカサの両肩を掴み、長文を一息に言った。キャラじゃない勢いは、どこか現実味を帯びた迫力があった。 「…もしかして経験あったりする?」 「実は結構しょっちゅう」 「え」  サラッとカミングアウトされた話に、驚愕で言葉を失う。 「変な人を惹きつけやすいみたいでさ。さっきの話は初めてストーカにあった小3の時の実話。純粋な少年は騙された」  やれやれ、ともうすっかり慣れてしまった口調で言う。  惹きつけやすいのはわかる気がする、なんて言ったらサキは怒るだろうか。  ただでさえ人目を引く長髪、目鼻立ちは派手ではないがたしかに整っていて、その長い髪はよく似合っていた。背は高くないが、顔立ちは中性的でも女子に間違われることのない「少年」のもの。まだ幼さの残る容姿から時々発せられる大人びた雰囲気は今だからこその魅力があった。その魅力は手を出してみたい、というよりは遠くで見ていたい種類のものだ。  グッと拳を握り込み、気合いを入れるように言った。その仕草は子供っぽかった。 「遠くから見てるだけでもロリコン、ショタコンは犯罪!ダメ、絶対!」 「お、おう」
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