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  高校卒業後は空港で働くグランドスタッフになる為の専門学校に通った。空港は空に一番近い場所。空こそ青の象徴。空港で働くことは清子にとって人生の必然だった。   専門学校時代の合コンで、パイロット志望の大学生、青柳晴太と知り合い意気投合した。日に焼けたスポーツマンタイプの爽やかな青年で、何より名前に青がつくのが清子の気に入った。  二人はすぐに付き合いだし、同棲するようになる。  二人の暮らす部屋はたちまち青でいっぱいになった。  青色の絨毯。真っ青な空の絵画。青いポット。青いカーテン。青で揃えられるものは何でも青で揃えた。青柳晴太も清子と同じで幼い頃から青が好きだった。彼こそ運命の人。彼を逃がしてはならない。  清子は彼に愛想を尽かされないよう、料理の腕を磨き、家事も一通り何でも頑張った。  専門学校卒業後、清子は一足早くグランドスタッフとして空港で働くことになる。  空港は通える場所にはなく、清子は青柳晴太と同棲している家を出なくてはならなかったが、心配はしていなかった。電車で一時間半ほどの距離。その気になればいつでも会える。  青柳晴太が航空会社に入社すればまた一緒に暮らすことができる。それまでの辛抱だった。
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