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電車の中の彼女
僕は、いつも彼女を見ていた。
それは、せつなく成就しない恋なのか、
いつか大きく花開く恋なのか分からない
でも・・僕は、いつも
彼女の一挙手一投足を目で追っていた。
僕は二宮貴教、18歳。
横浜の自宅から都内の高校に通っている。
もう夏休みも終わり、高校3年生の僕としては本格的な受験勉強に入らなければいけない時期だけど、自宅に帰っても彼女の事ばかり考えてしまう。
幸い、学校での成績はこれまでトップだった。でも、この時期の停滞は受験の結果に大きく影響する可能性がある。その事に、もちろん僕は気づいていたが、彼女への想いは募るばかりだった。
彼女は、東横線の横浜駅から僕と一緒に電車に乗る。
そして菊名駅で友達を迎え、いつも仲良しそうに喋っている。
僕は中目黒で日比谷線に乗り換えるが、彼女達はそのまま渋谷方面に乗って行く。
彼女の制服から都内有数のお嬢様学校に通っている事はすぐに分かった。
僕が彼女に気付いたのは、些細な理由からだった。
その日も、僕は彼女と同じ車両に乗っていた。彼女の前には私立小学校に通ってると思われる、大きなランドセルを背負った小学校1,2年の女の子が立っていた。
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