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「私は、本当に肩を落としたわ。そして自分自身に失望した。私の打算が結果として、私とあたなの関係を断ち切ってしまった」
「私は、唯一の可能性に掛けた。あなたは東大の文Iを受験すると言っていた事を・・。私の成績では、正直、とても厳しい挑戦だった。でも、この挑戦を勝ち抜いて、もし、あなたに会うことが出来たら、もう一度告白しようと思っていた」
僕は、真里の強い意志を感じた。そして、もう一度彼女への想いを思い出していた。
「合格発表の日、私は自分の番号を見つけた。残念ながら、あなたの受験番号は分からなかった。でも、私、あなたは絶対合格していると信じていた」
「私は、入学式であなたを探した。でも見つけることが出来なくて・・。今日は授業の初日だから、早起きして駅で待ち伏せしてた。あなたを見つけた時は、本当に嬉しかった」
僕の意志は決まっていた。打算があったにしろ、彼女の僕への想いは本物だ。こんなに頑張ってくれて、彼女は自分の罪を償ったと言えるだろう。
僕は許す立場では無いけど、僕も素直にならなくちゃいけない。
「横浜から渋谷で井の頭線乗り換えだよね。今日は、JRで来たけど、まだ定期を買っていないから、もし東横線で来るなら合わせるよ」
「えっ?」
「また、横浜から一緒に通えるね」
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