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可哀想に、その女の子は座る事も出来ず、つり革にも届かなくて、電車の揺れで左右に大きく動いていた。そして、とうとう床に転がってしまった。
その時、彼女がその女の子に手を伸ばし、床から起こすと言った。
「お姉ちゃんが支えてあげるから、手をギューっと握っていてね」
女の子がうんと頷くと、彼女は満面の笑顔を見せた。
その笑顔に僕は、恋してしまったんだ。
それから、僕は通学途中の電車でいつも彼女を探していた。
そして、同じ車両になった時は、本当に嬉しかった。
いつも、彼女を見ていた。彼女のちょっとした動作一つ一つが新鮮で僕は心を惹かれた。
ある日、特別なことが起きた。
東横線の横浜駅は毎日、席取りのバトルが起きる。特に僕の乗る通勤特急は横浜で2分ほど停車するのだけど、ドアが開いた最初の波で、ほぼ席は埋まってしまう。僕も殆どのケースで座れなかった。
その日、僕は珍しく席を確保できた。そして僕の隣には、なんと彼女が座って来たんだ。その場所は、進行方向左側が優先席で、右側が普通席の3人掛け席だった。僕らは普通席に座っていた。
もちろん彼女の隣に座ったのは初めてだった。肩が触れた時、僕は物凄く意識してしまった。
本当にドキドキした。
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