電車の中の彼女

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「私は、高橋真里、また競争しようね」 それで、この会話は終わりだった。 菊名で、乗って来た彼女の友達。多分、会話から、加奈さんという名前だと思うけど。僕の前で二人で喋っていた。 そして、中目黒で僕が席を立つと 「今日は、ありがとう、明日もまたね」 と彼女が言った。 「うん」 と答えて、電車を降りる。後ろで加奈さんが「どうやって知り合ったの?」とか言っているのが聞こえた。 次の日も、横浜駅のホームで彼女を探したけど、見当たらなかった。 仕方なく肩を落として電車に乗り込む。今日も席を確保する事が出来た。 発車のベルの直前に、誰かが僕の前に立った。 「相鉄線が遅れて、乗り遅れる所だったの。おはよう。今日も会ったね」 真里だった。僕が顔を上げると、大きな目で僕を見てる。 走ってきたのか、肩で息をしている。 「おはよう、えっと高橋さんだっけ」 真里が、また満面の笑みを浮かべる。 「あっ、名前覚えていてくれたんだ。ありがとう。そう言えば、あなたの名前は?」 僕は、少し躊躇しながら答えた。 「えっと、二宮貴教」 真里が、ニッコリ笑った 「よし、覚えた。私の下の名前覚えている」 僕は、もちろんと思った。 「真里さんだよね」 「よし、記憶力は充分だね」真里が変な事を言う。     
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