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ラテを買って椅子に腰掛けた。そして学校の宿題でもと思って教科書を開いた所で、前に見覚えがある制服の女の子が立った。
僕は、”真里が来た”と顔を上げた。しかし、そこに居たのは・・
「えっと・・ 加奈さん??」
真里の友達、菊名から同じ電車に乗って来る加奈だった。
「今日は、会ってくれてありがとう」加奈が言う。
「えっ?」僕は、何が何んだか分からなかった。
「私、ずっと”あなた“のこと電車の中で見てました。一目惚れでした。でも声を掛けることが出来なくて、真里にお願いして、この機会を作ってもらったの・・」
僕は合点がいった。真里は加奈の為に僕に近づいて来たんだ。でも・・
「私と、お付き合いして頂けませんか? お願いします」
加奈も可愛い娘だった。普通だったら二つ返事でOKする所だったが、その時の僕は猛烈に頭にきていた。僕は、あの天使のような笑顔に騙されたんだ。
僕は立ち上がって言った。
「加奈さん、僕は君の事をまったく知らない。それに僕には他に好きな娘がいるんだ。ごめん、君の気持ちは受け止められない」
加奈が大きく目を見開いていた。目に涙が滲んでいる。
「うん、答えてくれて、ありがとう。それじゃね」
加奈は泣きながらスターバックスを出て行った。
残された僕は、何とも釈然としない気持ちで一杯だった。
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