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翌年の四月、僕は東大 文Iに入学した。
東大のキャンパスは駒場にある。入学式が終わり最初の授業の日、僕は駒場東大前駅で電車降りた。
階段を登り、改札を抜けた所で、いきなり声をかけられた。
「貴教くん!」
声の先を見ると、そこには真里が立っていた。
僕は、大きく目を見開いて、立ち止まった。(何故、彼女がここに・・)
動揺した。未だ僕の中には彼女への想いが残っていた。
それを悟られない様に、彼女を無視して立ち去ろうとした。
「私の話を聞いて。お願い!」
彼女の顔を見ると目に一杯の涙を浮かべている。
僕は、もう一度、立ち止まって、そして彼女に近付いた。
僕は言った。
「話を聞くよ。まだ、時間あるから駅裏のカフェにでも行く?」
真里は頷いた。
カフェに入り、ラテを二つ注文して、二人で席に着いた。
彼女は、下を向いたまま、話を始めない。
「話が、あるんだよね?」
そう僕が言うと彼女がポツリポツリと話始めた。
「あの時、私、確かに加奈の為に、あなたを中目黒に呼び出した。でも、それは、とてもとても後悔してた・・。いつの間にか私自身が、あなたに恋していたから」
えっ? と僕は思った。
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