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「私、気づいていた。あなたが、いつも一緒の電車に乗ってること。あなた良く私を見てたでしょう?それで私も意識して。そして、あなたは、自分が席に座れた時も、よくいろんな人に席を譲ってた。私、それまで、そんな事したこと無くって。それも、あなたに好意を持った理由」
「で、あの日、おじいさんに席を譲った日。初めて、あなたの隣に座れて本当に嬉しかった。肩が触れ合った時、本当にドキドキした。でも杖をついた”おじいさん“を見て、あなたが立ち上がると思ったから、私が先に立ち上がった。結果、話す”きっかけ“を掴めたの」
僕は、ドキッとした。肩が触れ合った時、お互いにドキドキしていたんだ・・
「でも、実は、加奈もあなたをずっと前から見ていたの。加奈もあなたの事好きになっていたのね。で、私とあなたが話している見て、私、相談されたの。告白する機会を作ってくれって。私、本当に悩んだわ。でも、自分の気持ちに素直になれなくて・・」
「そして、私の中で打算もあった。殆ど話していない加奈の想いをあなたが受け入れる可能性は低い。だから、暫くしたら私が告白しようって・・」
「結果、加奈は振られて、私は心底ホッとしたわ。でも、その打算がいけなかったと思ってる。その後、あなたは私の前から消えてしまった。どんなに電車の時間を変えても。中目黒で、乗り換える人をどんなに追いかけても、あなたを見つける事は出来なかった・・」
(そうだよ、通学ルートを変えたんだからね)僕は思った。
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