第4章 まさかのデビュー

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 なるほど、ジュンスカやBAKUやザ・ブームはプロだしCDやライブで儲けていたからプロとしての金があったのだろう。でなきゃ、毎週機材や音響を確保して演奏なんてできるわけがない。(なるほど、金か・・・)  半ば諦めていた時のことだった。飲み友達だった女の子バンド「シザーズ」の恭子(きょうこ)ちゃんから朗報があったんだ。 「涼太朗君聞いて! ビーインホビーレコード・ホコ天バトルってのがあって、1バンド5曲。参加資格はオリジナル曲で、デモテープ審査で受かれば、タダでプレイできて優勝は100万円なんだって」 「やる、やる。絶対受かる」そういって僕らはデモを送った。コンテストなら機材もPAも用意してくれるのだ。こんなにオイシイ話はない。  「優勝は・・・」ドラムのロールが鳴る。  ドシャーん、シンバルが鳴る。「ハイスクール純子マンズ!」  ホコ天デビューは、苦いものだった。集客・注目度はピカイチだったのに審査の目には止まらなかった。ハイスクール純子マンズは、当時風にいえばロリータパンクだ。若い高校生の女の子が生足を出して元気に叫んでいて、男女両方にもウケがいいのは確かだろう。  「茶番じゃね・・・」ハルが捨て台詞を吐くように言った。  「いやいや、若くて可愛い。それが一番な世界さ。もう俺たちはジジイかも」準は言う。     
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