第3分岐 ifのための対価

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「離婚してほしい。 訳は聞かないでくれ… 聞かれても話す気はないから」 ついに離婚の話しを切り出す。 本当はお酒が入る前に言い出したかった。 飲んだ勢いとか思われたくなかったから。 「な、なんで?どうして?」 咲世子の顔に笑顔がなくなった 「ちょ、ちょっと待ってよ 私は… 私は嫌です… 新くんと離婚したくない… ずっと… ずっと… 一緒にいさせてください…」 大粒の涙を零し、テーブルに頭をつけ お願いされる。 ココロが… ココロが壊れる… 〈ミシミシ〉 自分で言い出した事なのに… オレハアクマニデモナロウッテノカ… 〈ピキッ、パリーン〉 ココロが壊れる音がした。 「そういう所… 重いんだよ。 毎日毎日、ご飯作って待って 自分も仕事が早いくせに おれが寝るのを待ったり お風呂にはいるのも一緒。 おれには自由がないのか?」 涙を必死に堪える声がする。 「もう咲世子といるのはウンザリなんだよ わからない?わかるわけないよな? じゃあね、今までありがとう バイバイ」 と言って離婚届を机に置き、おれは家を出た。 今日は漫画喫茶だな… さっき咲世子に言った事を思い出す おれはもうすぐいなくなる… だから遠ざけた。 大切だからこそ遠ざけ、突き放した。 すべては咲世子のため… なのにこんなにもココロが痛いなんて… だって 咲世子のため 恵理香のため 大切な人のためだから チガウ… そんなのは全部 ただの言い訳… すべて自分のためじゃないか…
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