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桃太郎は村の子供たちから「桃から生まれた桃太郎だあ」と、小さい頃から馬鹿にされて来た。
何故、桃から生まれてはいけないのだ?
桃太郎は友達も出来ず、一人で剣術を磨きながら卑屈な若者へと成長した。
ある日、お爺さんが言った。
「最近、村人を苦しめる鬼が出るそうじゃ。どうじゃ、村のためにもお前がその腕で、退治してはくれんか?」
すると桃太郎は「いくら貰った?」と聞いた。
「へ?」
「だから、村の長からいくら貰ったんだよ!」
お爺さんは無言になった。
どうやら図星のようである。
「よいか桃太郎よ。わしがそんな、がめつい老いぼれに見えると言うのか!」
お爺さんは、両目をくわっと見開いた。
「見えるから言ってるんだよ!」と足蹴りにした。
「ところで桃太郎よ。勇者と言う言葉を知っておるか?」
「話をそらすんじゃねえ!」と桃太郎は、お爺さんの頭をグリグリした。
「勇者とは誰もが皆んな、憧れる存在なのじゃぞ」お爺さんは、もはや半泣きであった。
「憧れの存在?そのゆうしゃってやつがか?」
桃太郎は昔から、周りから疎まれていたので、憧れは人以上に持っていたのだ。
「じゃあ、俺もそのゆうしゃってやつになれるのか?」
「ああ、なれるとも!」やっと爺さんは、威厳を発揮した。
「お前が鬼を退治して村を助けた時、わしはお金持ちに、いやいや、お前はその勇者になれるのじゃ!」そして真っ昼間にもかかわらず、ザッと星を指差したジジイであった。
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