2

1/4
前へ
/16ページ
次へ

2

そして峠を越えて川沿いを歩いていると、川のほとりで犬同士が喧嘩をしていた。 どうやら、餌の取り合いの様だ。 桃太郎は立ち止まった。 すると猿は「おい、やめとけよ。止めたところで餌の取り合いは野生動物にとって、日常茶飯事の事だ。切りがないぜ」と最もらしい事を言った。 「いや、俺は小便を…」 「止めないのかよ!こらっ!小便を川にするんじゃねえ!」 そして餌を取られた犬は、その場にしゃがみ込んだ。「腹が減っているのか?」 桃太郎は後ろから声をかけた。 「情けは無用です。僕が弱いから当然です」と犬はマイナス思考の様だ。 「はら、これを食え。婆ちゃん自慢のいちご大福だ」と桃太郎は大福を、犬の目の前に置いた。 「こんな見ず知らずの犬に、情けは無用です。それにそこまでしてもらう義理もありませんし、決してお腹が減ってる…訳では…ムシャムシャ」 「結局、食うのかよ!」取り敢えず、猿は突っ込んだ。 そして犬は空腹を満たしてくれたお礼にと、お供をする事となった。 猿は犬を見ながら、何でお前の大福には馬の糞が付いて無いんだよ…と未だに納得がいかない様子であった。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加