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「鬼には私どもも、程々困っております。退治して頂けるなら、本当に助かります」と主人は頭を下げている。 「しかし、対価なしではどうもなあ…」と桃太郎は勿体つけた。 「勿論ですとも。成功の暁にはこれを」と主人は、金銀の入った小箱を開けて見せた。 桃太郎と猿は、顔を見合わせて、うんうんと頷いている。 犬はその様子を見ながら、この人達について行って大丈夫なのだろうか? 鬼よりタチが悪い気がして来た。 「で?鬼は何処から来るのだ?」桃太郎が尋ねると 「はい。空から狙って来ますんで」と主人は普通に答えた。 「ええ?空から?」 すると突然、空から凄い勢いで、何かが急降下して来たのだ。 そいつは瞬く間に猿のお皿から、くず餅を引ったくって行った。 「あっ!おいらのくず餅が!」 そいつは空中で、羽をばたつかせて笑っている。 「え?あれってキジだよな?」桃太郎は犬に聞いてみた。 「ええ。何処から見てもキジですね」 すると猿が主人に尋ねた。 「おい、鬼と言うのはあいつか?」 「はい、本人が鬼と申しておりますので。もう本当に困っております」と主人は汗を拭っている。 「主人、桶に水を汲んで来てくれ」桃太郎は、主人にそう頼んだ。 そして桃太郎は、腰に下げている袋から竹の皮に包んである、いちご大福を見せた。 それを見た、" 自称 " 鬼は「なんじゃありゃあ?見たことない食べ物だ。美味そうだな」と狙いを定めている。 そこへ主人が桶を運んで来た。
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