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鬼ヶ島は離島であった。 活火山がそびえるその島は、常に黒煙が立ち込めていた。 「こりゃあ舟がいるなあ」と桃太郎は、遠くに見える島を眺めた。 そして漁師に、格安で中古の漁船を譲って貰った。 勿論、漁船といっても時代が時代である。 手漕ぎの小さな舟であった。 そして小舟は、鬼ヶ島に辿り着いた。 すると、ドンドコッドンドコと太鼓の音が聞こえる。 何やら胸騒ぎがする。 皆んなは足音を忍ばせて、音のする方へと向かった。 小高い丘から見下ろすと、太鼓の音はその下から聞こえている。 そこに鬼達はいた。 20匹くらいであろうか。 鬼は太鼓の音に合わせて踊ったり、酒を飲んで騒いだり、何と子供の鬼までいた。 「何じゃありゃあ?」猿が言うと 「どうも宴会のようですな」と犬が答える。 「僕が少し、様子を見てきます」とキジが飛び立った。 そしてキジは、鬼達の傍にそっと忍び寄り、その声に耳を傾けた。 「最近はどうかね?」 「余り芳しくないなあ。景気も悪いし」 「人間が潤わんと、わしらまで回って来ん」 「本当に世知がない世の中だ」 と、まるでサラリーマンの会話だ。 「ほら、玩具の取り合いはやめなさい!あなたはお兄ちゃんでしょ!」と母親鬼が、子供を叱っている。 まるで人間と同じではないか!
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