神子は世界の中心点

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「幸いと言っていいのか分からないが、神の娘を含め代々の神子達は子を1人しか身籠る事はなかった。だから、代々の王は常に別の妻の腹から生まれた子で、神の血は一滴たりとも流れていない。ついでに言うと、神は娘をたぶらかしたばかりか、重婚などという冒涜とも取れる行為に酷くお怒りだ。王族である勇者の末裔など、態々助けるなどあり得ない。お前達の国の民もそれをしっていたから、死刑にしたんだろう。いいか、お前の(・・・)世界では信仰が薄かったのかも知れないが、この(・・)世界は違う。神はおられるし、この世界に加護や罰を与える事もある。お前達は神の怒りに触れた。神からの罰を受ける事はないが、救いを与えられる事もない」 この話を聞いた時、勇者は怖いもの知らずにも程があると思ったものだ。 神の娘を貰っておきながら、他の女とも情を交わすなど……それで、神の娘が愛想を尽かしていたら首が飛んでいた。 代々1人しか子供が生まれないのも、恐らくは神の意向が関係しているのだろう。 「そ、そんな、……でも、でも私は悪くない。だって、おかしいもの、そんなの知らない、知らない……」 俺の話を聞いた元公爵令嬢は、自分の立場、自分が何をしたのかようやく理解したらしい。 憎悪から恐怖へとその目に宿る感情を変えた。 まぁ、もう手遅れだけど。 俺もユリシアを害した者を許すつもりはない。 「下がれ。もう2度と俺達の目の前に現れるな。次は即座にその首を斬る」 俺は冷酷にそう告げたのであった。
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