神子は世界の中心点

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「ユリシア・ルピナス、お前とは婚約破棄する!! お前の悪行はここまでだっ!」 そう宣言するのは、この国の王太子。 横には近頃いくつもの政策を成功させ、才女と称される公爵令嬢。 彼等は今怒りで肩を奮わせ、目の前の王太子の婚約者である少女のを糾弾した。 「悪行? 何の事かしら?」 少女、ユリシア・ルピナスは本気で心当たりがなかった。 真っ白なドレスを身に纏い、ベールで顔を隠しているが、声でキョトンしてるであろう事が端から見ても分かるだろう。 そしてその態度は、対峙する2人に余計に油を注いだ。 「何の事って、神納税の事ですっ!! 民からの貴重な血税を、胡散臭い世迷い言を言って国から巻き上げて! 国家予算の7割ですよ、7割!! それが貴方達神殿に費やされてるなんて、おかしいでしょうっ!? 莫大な資金を得ても贅沢三昧な生活をするばかりで、施しをする訳でも事業をする訳でもない! これを悪行と言わないで、何と言うのですかっ!?」 公爵令嬢は歯に衣着せぬ物言いで、ユリシアを怒鳴り付ける。 それはユリシアにとって、少し新鮮な事であった。 ユリシアは神が愛した娘の子孫だ。 神子たる()を持った本物の愛し子。 そんなユリシアに、口答えする者など今まで誰もいなかった。 そして公爵令嬢が激昂している神納税とは、毎年神殿に納められる莫大な資金の事。 ユリシアは神殿に暮らしており、神への感謝の印として国から納められている。
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