神子は世界の中心点

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「おかしいって……何故? 元々この国の富は(おじい様)が私へと与えたもの。本来は全て私のものであるのに、何故貴方はそんな事を言うのかしら?」 寧ろその3割を国へと分けているのだから、寛大な対応だとユリシアは思っている。 この国は本来枯れた土地。 何も得る事など出来ない土地なのだ。 けれど、この国の民は世界のどの国より豊かな生活を送っている。 毎年豊作で、不作の年などあった事はない。 毎年採掘される鉱石は、掘っても掘っても尽きる事がない。 水は清んでいて、国中に行き渡っている。 つまり、国の民は飢える事なく、十分過ぎる程豊かな暮らしを送っているのだ。 それなのに、更なる豊かさを求めるというのか。 「悪いが私は、彼女と出会って目が覚めたんだ。これからは人の時代だ。何時までも神の加護などという迷信に、付き合うつもりは無い。だから、ユリシア・ルピナス。私はお前を断罪する。神子などと国中を謀り、私腹を肥やした罪、万死に値する!」 王太子は自信満々に言うが、その意味を、重さを全く理解していない。 現在、他国を訪れる国王がこの場に居たら、例え溺愛している王太子であろうと廃嫡は免れなかっただろう。 これは神との決別を意味する。 今までの加護を失うことを意味する。
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