神子は世界の中心点

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あぁ、愚かな。 愚かな王太子。 珍しいと思ったけれど、ただ畏れを知らない、物を知らないだけの子供か。 国王は、愛故に教育を間違えたらしい。 一番大事な事を教えていない。 ユリシアはガッカリした。 詰まらない。 ユリシアは守られ愛されているが故に、いつも退屈を感じていた。 王太子も……翡翠のような眼が気に入っていただけですし……もう、いらないわ。 元々、王太子との婚約は長年の慣習のようなものだ。 歴代の神子が王太子に嫁いだから、ユリシアも同じように婚約させられただけ 加護を他の一族に渡さない為の婚姻であり、ユリシアにとって別にどちらでも良いものであった。 「……それは、今の豊かさを捨てる事よ?」 これが最後通告だ。 ユリシアは別に善でない。 国の安寧に興味はないが、長年過ごしたが故に多少の情はある。 婚姻を結ぶつもりは更々ないが、最後の猶予を彼等に与えた。
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