第一章 適正通知

2/7
24人が本棚に入れています
本棚に追加
/93ページ
 近所に()む、幼馴染(おさななじみ)のブロンドの(かみ)のアリスが()いてきた。彼女(かのじょ)も適正通知を受け取っているはずだが、(とく)(へん)なところはなく、前々(まえまえ)から進路希望していた(しょく)()まりそうだと(さき)ほど聞いたところだった。 「(おれ)進路希望出してなかったのに」  そう()って、アリスに左手首(ひだりてくび)のリングから(うつ)()されているエアディスプレイ(ない)の適正通知を見せた。  そこに()かれていたのは第一適正の(らん)に書かれた宇宙飛行士候補生(うちゅうひこうしこうほせい)という文字(もじ)だった。 「宇宙飛行士候補生だって、すごいじゃない!」  アリスが見ていたエアディスプレイを、(おな)じく幼馴染のアフリカ系の血が入っているであろう風貌のマイケルが、エアディスプレイを映し出しているトムの左腕(ひだりうで)()()って見て 「ほんとだ、宇宙飛行士候補生って書いてある。進路希望出してなくてもなれるもんなんだな」  と、感想(かんそう)()べた。  そうトムはそもそも進路希望を出してなかったのだ。なんとなく(ほか)普通(ふつう)仕事(しごと)()くだろうと(おも)っていたからだった。  22世紀(せいき)になっても宇宙飛行士は子供達の人気職業(にんきしょくぎょう)だった。それの適正テストでなんの変哲(へんてつ)もないトムが(えら)ばれたのだ。
/93ページ

最初のコメントを投稿しよう!