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別れる、という選択だ。
だって、別れずにこのまま付き合っても、彼に苦労をかけるだけだと思ったから。
そして、卒業式が終わったあと、私は彼を屋上に呼び出した。
あの日と同じ、屋上に呼び出した。
屋上に来た彼は、目が腫れていて、泣いたあとのようだった。
もっと泣かせてしまうのは申し訳ないと思ったけれど、私は彼に言った。
「別れよ。」
「え...?」
彼は、とても驚いた顔をしていた。
卒業式の直前までイチャイチャしていたし、当たり前と言えば当たり前だろう。
「別れよ。ばいばい。」
「待って!どうして僕と別れたいの!?」
「それは...」
私は、引っ越すことを言うべきか悩んでいた。
でも、引っ越すことを言ってしまえば、彼は付き合い続けたいと言うだろう。
だから。引っ越すことは言わないことにした。
「どうしてって、それくらい察してよ!」
「え...」
私は、早足で屋上から立ち去った。
一瞬振り返って見た彼は、しゃがみこんで泣いていた。
「ごめんね...」
小さな声で謝り、私は屋上の扉を閉めた。
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